民間企業は法定雇用率によって障害者を一定数雇うことが義務となっている。
2021年時点で法定雇用率は2.3%であり、この数値を達成することができない企業は一人当たり月額5万円の納付金を納めなければならない。
そして、法定雇用率を上回って障害者を雇っている企業には、一人当たり月額2万7千円の調整金を支給される。なお、100人以下の企業はこの納付金・調整金制度の対象外である。法定雇用人数に満たなくても納付金を支払う義務はなく、障害者を多く雇用しているときは調整金ではなく、超過1人あたり月額2万1千円の報奨金を支給される。
法定雇用率を義務づけるとともに、納付金・調整金制度を導入することで、社会全体としてより少ない費用で、目標とする障害者雇用の増加を実現している。障害者を雇うことによる限界収入(労働者を一人雇うことによって企業が手にする利益)が大きい企業は、障害者が活躍できる仕事が多い企業である。
すべての企業が法定雇用率にしたがって障害者を雇用するのではなく、障害者が活躍できる(障害者雇用を増加させる費用が少ない)企業が法定雇用者数より多い障害者を雇用し、その費用を、障害者が活躍できる仕事が少ない(障害者雇用を増加させる費用が大きい)企業が、法定雇用人数まで障害者を雇用せずに納付金という形で負担しているのである。(T・Y)